時代の風

早期退職時代に突入した日本の40代・50代の天国と地獄

2020年、いよいよ潮目が変わった

2020年に入り、業績が堅調な業界大手までも「構造改革」などの名目で、大量の早期退職募集を始めた。

オンキヨーは1月25日、40~60歳の国内正社員を対象に実施する希望退職に98人が応募したと発表した。

ダイドーグループホールディングスは1月25日、子会社のダイドードリンコとダイドービバレッジサービスで早期退職者を募集すると発表した。ドリンコは53歳以上、ビバレッジは55歳以上の社員が対象。50人程度の応募を見込む。自動販売機事業の低迷を受け、ベテラン社員の人件費を削減する。

曙ブレーキ工業は1月16日、国内外で200人の早期退職者を募集すると発表した。対象となるのは2020年1月1日時点で同社と国内外の一部子会社で働く勤続3年以上で40歳以上の正社員など。

日産自動車は1月28日、米国で早期退職者を募集することを明らかにした。米国の販売低迷に伴い事業体制を見直す。52歳以上の事務職と工場従業員が対象で、募集人数は明らかにしていない。

アパレル大手のオンワードホールディングス(HD)は2月7日、1月に実施した希望退職の募集について、413人が応募したと発表した。同社の予定数(約350人)を約2割上回った。

東京商工リサーチが発表した調査では、2019年に早期・希望退職を実施した上場企業は直近6年で最多を記録した。
2020年は、さらにこの記録を超える多くの大手企業で、早期退職の募集が行われることは間違いないだろう。

年金の支給開始年齢は、60歳から70才へと引き上げられるうえに、会社からは、50代で早期退職を迫られる。

かつての年功序列型賃金で、ただ可もなく不可もなく、お気楽サラリーマンとして定年まで勤めればよかった時代は、とっくに幻となっている。

いい学校に入り、いい会社に入るために、せっせと塾通いさせたのに、一流大学を卒業してもフリーター。

やっと就職してくれたと思ったら、40代で会社から肩たたきに会い、自信喪失で実家に引きこもりとなる中年が続出しているのが日本の実情だ。

「まさか、45歳の俺が早期退職の対象になるなんて思いもしなかった」

ある日、突然、厳しい現実が突きつけられる。

ある電気メーカーに勤める中間管理職の男性は驚きを隠せない。1995年に入社し、工場勤務から実績を積み上げてきて、係長として部下を任されるまでになった矢先に、上司から早期退職を勧められた。

得られる退職金は約700万円。将来が見えない現代に、上乗せされた退職金は魅力的だが、定年までを見据えると心もとない。

これまでの早期退職募集は、業績不振が原因であったが、近年は、業績が堅調な業界大手も、「先行型」で早期退職を募る形に変化していることだ。

不振が目立つ電気機器メーカーの東芝(1410人)、富士通(2850人)、さらに経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI、1200人)、ルネサスエレクトロニクス(約1500人)。

その規模は、尋常ではない。

「バブル世代」の50歳代を襲う2020年問題とは?

かつての日本が沸いた1980年代後半のバブル期。給料水準は大幅に高騰し企業はどこも大量に人を採用しました。その世代が、管理職となり高い年齢給に重なり、企業は人件費負担増という問題に苦しんでいます。

バブル期に大量採用した社員の人件費負担増とポスト不足に直面する企業の経営課題が「2020年問題」です。

2019年 元号が令和に変わり新しい時代が始まりました。日本社会は『長い昭和と平成』が終わった、という節目の意識が共有されつつあるのでしょう。

企業としては、大胆なリストラ案を進めるため大義名分ができたのです。

『日本は新時代に入った、われわれも生き残るために改革しなければ』と言いいやすい環境がそろ、非情な決断を行使しやすくなりました。

 

大早期退職時代で生きのびるためのセカンドライフ戦略

ある日突然訪れる、早期退職の現実。

再就職するにも年齢が年齢だから、その活動はなかなかスムーズに進まないケースも多いでしょう。

この機会に、これまでの知識と経験を生かして独立するといった選択肢もあります。

再就職する場合には、注意したいのが退職理由です。実際の現場では、会社都合退職自己都合退職に分けられます。

経営不振など会社側に原因のある退職を、会社都合退職といい、逆に労働者側が自分の意志や都合でする退職を、自己都合退職といいます。

会社都合退職の場合は、失業給付金が自己都合より早く支給され、給付日数も長くなるというメリットがあります。

しかし、解雇されたという理由が再就職の場で不利になることもあります。

そのような場合には、マイナスからプラスとなる理由を、しっかりと履歴書や職務経歴書でアピールすることが大切です。

自己都合退職の場合では、自らの意志で会社を辞めたという理由で失業給付金を受け取るまでに約3ヶ月かかります。

そのため、しっかりと退職計画を立てておく必要があります。

再就職する場合は、「退職理由」は重要なので自己都合でもどのような「想いや考え方」があって退職に至ったのかをしっかりとアピールできるように整理しておくことが大切です。

いずれにしても、人生の大きな転機ですので、この機会を徹底的に利用して、自分と向き合うことが大切です。

貯蓄は十分かどうか?

再就職する場合の条件(給与、通勤時間、職場環境など)はどうか?

年金は、いつからどれくらいもらえるか?

セカンドライフをどのように過ごすか等、十分に家族と話し合ったうえで決めることも大切です。

早期退職をチャンスに変えしあわせに生きるためのマインドセット

会社で仕事をしていると、自分の実力だと思っていたことが、実は会社の看板があるから成立していたということが多いことに気がつきません。

会社が早期退職を募集するほとんどの場合、事前に選別が行われており、あなたは戦力外とみられていることが多いのが現状です。

社員に決定権があると言われていますが、実際には面談などを通じて上司がそれとなく早期退職を促してきます。

その時、あなたならどうしますか?

70歳を超えても働かなければならない時代がもうそこまで来ています。

会社にどこまでもしがみつき、ひたすら我慢し続ける。

それともあなたの貴重な人生の時間をもっと他に活かすことを考える。

早期退職という現実が目の前に立ちふさがった時、その「会社の居場所」にこだわるのではなく、「仕事の内容」や「あなたの得意なこと」を棚卸しすることが、より充実した生き方への鍵となるのではないでしょうか。

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